9. 2019年末の心にうれしい演奏会 (A happy concert at the end of 2019)

年末のみなとみらいホールでここのところ第九のコンサートに代わって何年か続けて聴いているロシアのサンクトペテルブルグ室内合奏団の美しい調べで楽しい昼間のひとときを過ごすことが出来ました。コンサートマスターのイリヤ・ヨーフというヴァイオリニスト

に率いられた16人の奏者にソプラノの2人の女性が加わり、バッハの曲を何曲かとすごい緊張感を持ったヴィヴァルディの四季の中の

冬の楽章、それに美しいソプラノ歌手の歌声いずれも高度な演奏技術と感動的な合奏力、ヨーフの素晴らしい演奏にあっという間のコンサートでしたがこの方たち半端ない体力と集中力を持っているようで2週間余りの日本滞在中毎日といってもよいほどの演奏会をこなしてその一つ一つが大変レベルの高さを維持したまま最後まで演奏しきったのでした。2000年から毎年この時期に来日しているようで毎年楽しみになってきたのです。思えばこの方たちの先輩格に当たるレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団の初来日のことを懐かしく思い出します。1976年当時まだ学生だった頃ですが上野の東京文化会館のホールでの息もつけなかった素晴らしいムラヴィンスキーの指揮によるショスタコヴィッチの交響曲第5番とチャイコフスキーの交響曲第5番は一生忘れ得ない素晴らしい体験でしたがまたロシアの素晴らしい芸術に触れるようになったことが自分としては幸福に感じているところです。ロシアのオーケストラやソロイストの演奏は時として大づくりのことも多いのですがこの方たちの演奏は緻密な読譜に裏付けられた独特な音楽の世界に私たちをファンタジックな世界にいっとき浸らせてくれるのです。また今年の暮れも来日してくれるのを楽しみに待っています。