2. メトロノームの表示について(About the metronomedisplay)

今日は音楽を志す人は必ず経験して便利なようで苦労してしまうメトロノームについて簡単にお話します。左の写真を見てみましょう。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィア」の各楽章の頭に付けられたメトロノームの表示です。ベートーヴェンは友人のメルツェルがメトロノームの特許をとった1816年のあと完成した長大なソナタに速度の表示をつけたのでした。このあと各交響曲にもメトロノーム表示を付け加えたのです。彼はかねてからAndanteやAllegroの表示はあいまいで気になるというような発言をしていたようです。この事は19世紀に入り一般市民が印刷された楽譜を手にして演奏する機会が飛躍的に増えたことと関連があるのかもしれませんね。ベートーヴェンは自分の曲のイメージをなるべく正確に伝えたかったのかもしれません。ちなみにメルツェルさんが作った補聴器はとてもベートーヴェンのお気に入りだったようです。メトロノームの便利な使い方についてはまたの機会にお話したいと思います。