先日ゴジラの新作を見てきました。やはり伊福部昭の強烈なテーマを大事にする現代の作曲家のアレンジには敬意を表したいと思います。心なしか私が小さいころ見た昭和29年(1954年)公開の初代ゴジラのテンポよりは今風に早かったと感じますが。
伊福部先生は戦前にヨーロッパ・アメリカでオーケストラコンサートのプログラムにのるほどの作曲家で第二次世界大戦直前の1939年6月9日ワルシャワ・フィルハーモニーによる「日本音楽の夕べ」にも先生の「日本狂詩曲」が演奏されています。(このあと9月1日にドイツによるポーランド侵攻が始まります。)なおこの時の指揮者は当時新進気鋭のN響(当時は新交響楽団)の指揮者であり、横浜交響楽団創立者の小船幸次郎氏でした。ウォルター・ピストンやリムスキー・コルサコフの管弦楽法を教科書にして学んではきましたが、伊福部先生が戦前にあらわした「管弦楽法」の二巻はそれらをはるかに上回る理解をもたらしてくれました。
だいぶ前になりますがある声楽家の伴奏で伊福部先生のレッスンを直接受ける機会がありました。そのおり「先生の音楽はみんなゴジラの音楽に感じてしまいます。」と言ったら大笑いされたのを思い出します。私にとってはそんなことも自分にとっては大切な音楽の思い出です。
それには北海道出身の先生がアイヌやギリヤークなどの先住民族の伝承的な音楽を素材とした独特な響きを大事に高度な芸術に光らせたことによるものだと思います。みなさんもゴジラのテーマ怖かったですよね。