4. スタッカートとフェルマータについて (About Staccato and Fermata)

今日はスタッカートとフェルマータについてお話しします。まずおさえていなければならないのは、両方とも表情記号であって音の長さを示す記号ではないということです。子供の頃レッスンで4分の4拍子の曲などでフェルマータは6拍数えろと、また4分音符に付けられたスタッカートは音の長さは半分で演奏するようにと、ある高名な先生に教わりました。それでは半分の8分音符で良いのではないのか、フェルマータは何かもっと正確な長さに示せばよいのではないのかと子供心に思ったものです。

確かに上述のような捉え方をすれば手っ取り早く聞き心地の良いような仕上がりにはなるでしょう。でも人間の感性は無限の広がりを持ったものです。その一見曖昧のようなものでも、五線譜を順序よく丁寧に目を離さないで追って行くと不思議とその曲の持つ意図にたどり着けるはずです。そうすれば歯切れの良いスタッカートがついた4分音符と付いていない4分音符・フェルマータのついた全音符と何もついていない全音符は全く異なる、しかも「表情を豊かにする為のもの」と「音の長さを示すもの」として矛盾のない記譜法と言えます。